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生まれかわっても妻と結婚したい~3人だけど気持ちは4人~

2020年5月13日、心地良い風が吹く日だった。2020年5月に最愛の妻であり、2人の子どもたちの母親である佳織(かおる)さんが病気で旅立たれた。それから1か月、子どもたちと一緒に神戸レインボーハウスを訪れた木寺正幸さん(42)。「生まれかわっても妻と結婚したい」と話す木寺さんに、家族4人で過ごした最後の日々、佳織さんが旅立ってからの子どもたちとの生活について伺った。

最後の「家族の時間」

佳織さんとは10年のお付き合いを経て結婚。娘と息子にも恵まれ、正幸さんは仕事に励んだ。今の子どもたちのベースを作ってくれたのは佳織さんだと思っている。

 

2018年に胃がんを発症。抗がん剤治療もしたが、コロナ禍となった20年春、家族で最後の時を家で過ごした。正幸さんは毎日の看護記録、点滴、注射、できることはすべて自ら行った。2週間ほとんど眠らなかった。

 

娘は「お母さん、産んでくれてありがとう」、息子は「僕のハーフ成人式に来れないの」と思いを伝えた。在宅看護のさなか、佳織さんは「これから先に生きていく中で、思い悩んで行きづまり、逃げようと考えたとしても、命を大切にしてほしい。自分を大切に生きて」と子どもたちに思いを託した。

 

「妻もこの写真ならOK出すかな」 子どもたちの大好きなお母さん

 

 

「子どもの小さな靴下を干す時に幸せを感じる。毎日幸せすぎて怖い」。子どもが一番の愛情豊かなお母さん。「これからのあなたの判断は私の判断だから大丈夫」と正幸さんの不安に寄り添い、どこまでも家族の幸せを願った。現在小学6年生の娘、4年生の息子。運動会、キャンプ。ずっと一緒に、隣で子どもたちの成長を分かちあいたかった。

3人での生活

亡くなって一年は疲労困憊。「子どもがいなければもういいかな」と思う時もあったが、子どもたちのおかげで生きてこられた。夢で佳織さんに「子どもたちは成長しているから大丈夫よ」と言われ、頑張らねばとガチガチだった肩の力が少し抜けた。

 

育児と仕事の両立には悩むが、会社の仲間の理解に支えられ、食材の宅配も利用し、夕飯時の家族時間を大切にしている。「お母さんはこうしてたで」「そんなに塩かけたらお母さんに怒られるで~」とみんなで仏壇に顔を向ける。「3人だけど、こんな風に4人の時間を持って生きていけたらと思うんです」。

心を開放する場所

佳織さんが旅立った1か月後、レインボーハウスのリビングで「佳織」というサインが入った絵が目に入ってきた。「妻の導きかな」と思った。

 

ここに来ると子どもたちの眼が違う。自分の心も解放され、穏やかになる。同時に「どうしようもなく気分がふさぐ時もある。でもそうなって当然なことを経験している。それでいいと思っているんです」。 他のお父さんたちにそう伝えたいと、今回の取材を引き受けてくださった。

 

木寺さん一家がレインボーハウスに来館される時、温かな風を感じる。佳織さんも一緒に訪れてくださっているのだろうか。レインボーハウスが、佳織さんが愛してこられた大切な家族の伴走者であれたら、そう思う。

 

息子さんの周りを温かい「お母さんの風」が包んだ

 

 

こちらのインタビューは、本会機関紙『NEW ASHINAGA FAMILY』172号に掲載された記事を編集したものです。

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