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【東日本大震災15年】震災遺児の追跡調査結果を発表~死別体験を話せる場所が、心の支えに

お知らせ 2026.03.04

東日本大震災から15年を迎えるにあたり、あしなが育英会は震災遺児を対象とした追跡調査を実施しました。その結果、家族との死別体験を安心して話せる相手や場所があることが、孤独感の低減や自尊感情の向上に影響していることが明らかになりました。


本調査結果について、2026年3月4日(水)に、あしなが育英会の「仙台レインボーハウス」で記者会見を開き、報告しました。


会見には、報道機関14社が参加しました。

*あしなが育英会は東日本大震災発生2日後に「特別一時金」の給付を決定。国内外から約60億円の寄付が寄せられ、震災遺児2083人に一人あたり282万円を給付した。さらに発生2か月後から現地で、心のケア活動をスタートし、2014年には宮城県仙台市と石巻市、岩手県陸前高田市の3か所に心のケアの拠点「レインボーハウス」を建設。現在に至るまで、継続的な支援をおこなっている。

 



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15年間の「心のケア」 効果を検証

この調査は、これまでの15年間にわたる「心のケア」が、震災遺児たちの現在にどのような影響を与えているかを検証するために実施しました。

対象としたのは、2011年に本会が「特別一時金」を給付した東日本大震災遺児2083人のうち、現在も住所を把握している1444人です。回答期間である2025年12月から2026年1月の間に、330人から有効回答を得ました(回答率22.9%)。

調査には、「孤独感」(どのくらい孤独を感じているか)、「自尊感情」(自分のことをどのように評価しているか)、「人生の意味」(自分の人生に意味や目的を感じられているか)という3つの尺度を用いました。レインボーハウスのプログラムへの参加経験や、家族を亡くした経験を話せる人や場所の有無が、それぞれに対し、どのように影響したかを分析しています。

 

結果より、震災による死別体験を話せる人・場所があり、実際に話すことができること、愛着が持てる場所が多いことが「孤独感」、「自尊感情」、「人生の意味」の全尺度に影響を与えていることが示唆されました。

死別体験を話せる場所や相手の有無は、孤独感の低減に影響

震災後、「家族を亡くした経験を話せる人・場所があり、実際に話すことができた」と回答した人は66.7%でした。話すことができた人たちは、そうでない人と比べて「孤独感」が低く、「自尊感情」と「人生の意味」の肯定感が高いことが明らかになりました。

一方で、「話せる場所はあったが話せなかった」と回答した人も一定数おり、その理由は、「どう表現したらいいか分からなかった」、「聞き手や場所にマイナスの影響が出る気がした」などがありました。

これらの結果から、安心して、ためらわずに死別体験を話すことができる相手や場所が、「孤独感」の低減に有効な役割を果たしたといえます。さらに、死別体験を言葉以外の方法で表現できることも大切であることがわかりました。

レインボーハウスのプログラム参加年数が長いほど、自尊感情が向上

レインボーハウスのプログラムに参加した経験がある回答者のうち72.8%が、「レインボーハウスは自分にとって居場所になっている」と回答しています(複数回答)。これは、「自室」、「家庭」に次いで3番目に高い割合です。



また、プログラムへの参加年数が長いほど、「自尊感情」のスコアが高まる傾向があることもわかりました。特に参加期間が「7~8年」以上の回答者では、その傾向が顕著に見られました。

レインボーハウスは、同じような喪失体験のある仲間と出会い、語り合い、互いを認め合える場です。さらに、サンドバッグやグローブを使った身体表現や、アート、音楽など多様なプログラムを通して、言葉にしきれない感情を表現できる機会を提供しています。こうした複合的な働きかけが、震災遺児たちの自己肯定感の回復につながったと考えられます。

中高生以上の震災遺児の参加に課題も

一方で、調査からは課題も明らかになりました。


まず、被災当時の学年が高くなるほど、レインボーハウスのプログラムへの参加経験が少ない、ということがわかりました。

 

さらに、参加経験がない回答者のうち、「参加したい気持ちはあった」と回答した割合は、中学生で52.3%、高校生以上で43.4%にのぼりました。これは、中学生・高校生以上の震災遺児のニーズを十分に受け止めきれなかった可能性を示しています。

 

中高生が利用しやすい居場所をどのように提供するかが、今後の課題として浮かび上がりました。思春期特有の心理的なハードルなどが背景にあると考えられ、中高生が利用しやすい居場所をどのように提供するかが、今後の課題として浮かび上がりました。



レインボーハウスの役割と課題を認識|会長の村田のコメント

会見で、あしなが育英会会長の村田治は、次のように発言しました。

 

震災遺児と、あしなが育英会のレインボーハウスの心のケアプログラムの役割を調査したのは、今回が初めてです。調査の結果、震災遺児の成長に、レインボーハウスが極めて有効な役割を果たしていたことがわかってまいりました。

一方で、課題がないわけではありません。中学生や高校生の参加率の低さ。これは、「話したかったけど、話せない」という気持ちや、「(自分が)話すことで、周りに悪い影響があるかもしれない」という、まさに思春期らしい壁があったということです。

一番難しい年頃の高校生に対して、どうしていくべきかという課題を示されたと感じています。

レインボーハウスの活動については、今回の調査を通じて、その意義や役割をある程度検証できたと思っております。今後は、本会の「ファシリテーター養成講座」を軸に、ケアプログラムを横に広げていきたいと考えています。

本会だけでは、全国の遺児や貧困家庭の子どもをカバーすることはできませんので、当講座を修了した方々が全国でいくつかの団体を立ち上げていますし、他団体とも連携を取りながら心のケア人材を育成していきたいと思っております。


15年の成果を踏まえ、震災遺児支援を継続

今回の調査から、仙台・石巻・陸前高田の3か所のレインボーハウスが、東日本大震災遺児の心の成長に対して一定の役割を果たしたことがわかりました。

レインボーハウスのプログラムは、とりわけ「自尊感情」の向上に対して大きな影響があり、震災遺児たちが自分自身を大切にし、自信を持って行動する後押しとなっていました。

東北3か所のレインボーハウスは、震災後に多くの方から寄せられたご寄付によって建設されました。運営開始後、ほぼ毎月続けてきた心のケアプログラムへの参加者は、のべ9032人(2024年度まで・保護者含む)にのぼります。皆様の温かいご寄付と、多くのファシリテーター(ボランティア)のご協力に、心より感謝申し上げます。

あしなが育英会はこれからも、震災遺児の成長を支えてくださった方々への感謝を忘れず、そして、本調査から見えた課題を真摯に受け止め、心のケア活動を続けてまいります。

多くの方の支援が震災遺児の支えに|自由記述より

アンケートの自由記述欄には、震災遺児たちの率直な気持ちがつづられていました。一部をご紹介します。

 

支援があったからこそ、ここまでくることができました。今は就職もして、公私共に楽しい日々を送ることができています。亡くなった父を思うと今も悲しくなりますし、会いたい気持ちは強いですが、そんなことばかりは言ってられません。きっとそばで見てくれていると思います。父が生きられなかった分も一生懸命生きて、支えてくれた人たちに恩返ししていければなと思います。ありがとうございました。(20代・男性)

 

震災からの年月が経っていくほど、記憶が風化されたり同じ状況にある友達とも環境が離れ離れになってしまうことが増える中で、自分の気持ちや体験を吐き出したい時に安心して話せる場所や人があるということが大切だと思う。(20代・女性)

 

震災から15年が過ち、支援が終わっていく中で私は大学進学を考えているので無事大学を卒業できるまで支援があるか心配です。今後も必要な奨学金や情報・支援をよろしくお願い致します。(10代・男性)

 

15年経っても心に負った傷は治ることはないので、時間が経っても心の傷に対するケアとして、15年前の経験や思いを話せる場所があったり、その経験をして乗り越えてきた自分を認めてくれるような場所であったり、人がいてくれるような支えが必要だと感じている。(20代・男性)

 

報道機関のみなさまへ

本件についてのプレスリリースは、下記よりご覧ください。
プレスリリース(PR TIMES)

報道機関の方からのお問い合わせ先 

一般財団法人あしなが育英会 広報部(担当:島田) 
電話:03-3221-0888(平日9時から17時) 
メール:press★ashinaga.org(★を@に変えてお送りください) 
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