1. HOME
  2. あしながメディア
  3. 働きながらでもLSPはできるの?社会人だからこそ伝えられる「学ぶことの楽しさ」【LSPインタビュー vol.6】

働きながらでもLSPはできるの?社会人だからこそ伝えられる「学ぶことの楽しさ」【LSPインタビュー vol.6】

 

あしなが育英会は2020年10月より、小中学生対象の学習支援「ラーニングサポートプログラム(LSP) 」という取り組みを行っています。LSPでは本会奨学生の大学生が中心となり、遺児家庭の小中学生にオンラインで学習指導を主とするサポートをしています。   

 
◇ラーニングサポートプログラム(LSP)の詳細はこちら  

 

 
今回は、働きながらLSとして活躍している、社会人2年目の仲野由貴子さんにインタビューしました。仲野さんの教育に対する思いや、社会人LSだからこそ伝えられることを聞くことができました。

 

 

仲野さんが担当するLR(ランナー)アリシアさんの記事はこちら

 

 

ミャンマーのカカオ農園を訪れた仲野さん

ミャンマーへの好奇心から 

―― 仲野さんについて自己紹介をお願いします。 

 

学生時代は、東京外国語大学でビルマ語を専攻していて、ミャンマーのことを勉強していました。特に公衆衛生という、病気になる前にどのように予防できるかを考える分野に興味を持って勉強していました。他には、ミャンマーの教育ボランティア団体にも所属していたり、地域の国際交流のボランティアを行ったりしていました。現在は、お菓子の製造業の原料部門で働いている社会人2年目です。 
 

 

――ミャンマーに興味を持ったきっかけはなんですか? 

 

小学生のときに「ビルマの竪琴」という本を読んだことがきっかけですね。当時はインターネットに繋がる携帯もあまり無い時代だったので調べることもできないし、ミャンマーという国の情報が全くなくて、どんどん自分の中で謎が深まっていきました。その謎が「この国はなんだ…?」という興味を掻き立てて、調べていくうちにどんどん楽しく、好きになっていきました。それからずっと興味を持ち続け、大学院でミャンマーの青少年の健康と教育を勉強し、ミャンマーの僧院ボランティアに参加したりしていました。 

 

 

ミャンマーで僧院ボランティアに参加したときの様子

 

 

――普段は社会人として働いている仲野さんがLSPに興味を持ったきっかけはなんですか? 

 

大学の時に、外国にルーツのある子どもの教育支援のアルバイトをやっていて、「教育って面白いな」という気持ちが残っていたので、社会人になっても関わり続けたいと思っていました。社会人になるとアルバイトはできなくなるし、時間や場所も制約があったので、難しいかなと思っていました。そんな時に、LSPについて教えてもらい、社会人でも参加可能で、オンラインでできるボランティアということで参加を決めました。 
 
 

社会人だから見える・話せることを 

 

――仲野さんはどのようなスケジュールでLSPのセッションを行っていますか? 

 

担当している中学生のランナー(LR)のアリシアさんと相談の上、火曜日の19時に行っています。コロナの影響でリモートワークが多いのですが、火曜日は17時に仕事が終わるようにしています。会社に、事前にこの時間は用事があると伝えていますが、どうしてもやらなければいけない仕事があるときは、前もってアリシアさんに連絡しています。週の前半に時間を固定しているので、もしどちらかが参加できない場合は、週の後半に回したりすることもできて、柔軟に対応しています。決まった時間に週に1回1時間なので、全然負担に感じることはないですね。 
 

 

――仕事とプライベートの両立の面で大変なことはありますか? 

 

3週間くらいタイに海外出張があったのですが、時差などで時間を確保することが大変でした。事前にLRに伝えておき、臨機応変に対応してもらいました。タイに行くと伝えた時に、アリシアさんがタイのご飯に興味がある!と行っていたので、写真をたくさん撮り、こんなもの食べたよと紹介したりしました。 

 

 

タイへ出張に行った際にアリシアさんのために撮った食事の写真

 

 

社会人の私だからこそ見える、話せることもあるなと思ったので、その週は例外的にタイについての話をする時間を入れました。 

 

  
――社会人ということは、大学生のLSと違い、小中学生と生活環境が違ったり、年齢が離れていたりすると思うのですが、LRとのコミュニケーションで大事にしていることはありますか? 

 

年が離れているので最初はどうやって話そうかなとすごく考えていたのですが、あえてフランクに話しすぎないように気をつけています。私自身がタメ口を使うことが好きじゃなかったのもありますが、アリシアさんを1人の人間として尊重しているので、連絡を取り合うときもお互い丁寧語で話しています。

 

でも、もちろん毎週対話を重ねる中で、「いいね!」とか「ありがとう!」など気軽に話す場面もあります。 学校や塾で大人に会う機会はあると思いますが「先生と生徒」という関係だと思うので、そうじゃない大人と話せるLSPできちんとした言葉遣いを実際に経験する時間になっているのではないかと思います。程よい距離感で話せる・話してもらえる関係性を大切にしています。 
 

 

―― セッション中に工夫していることはありますか? 

 

セッションの最初と最後に雑談の時間を設けています。セッションの終わりに、わからないところや質問がないか聞くと同時に、今週1週間学校や家庭でどんな予定をあるのかを聞きます。そして、次のセッションの最初にその予定についての話をします。 

例えば、前の週に「体育祭がある」と聞いていたら、次の週のセッションで「体育祭はどうだった?」と話を広げていきます。前の話を覚えていてくれていると大人でも純粋に嬉しいですし、アリシアさん自身も話やすくなるだろうと思うので、週をまたいでもコミュニケーションが続くように心がけています。 
 

 

―― 一度話したことを覚えているというのは、社会人ならではの習慣かもしれないですね。様々な工夫されている仲野さんですが、LSPをやっていてどのような時にやりがいを感じますか? 

 

アリシアさんから質問が来るようになったときですね。

はじめはatama+などでわからないところがあると、質問していいのかなと少し考える時間があったのですが、最近はすぐに質問してくれるようになりました。 

 

また、たまに接続の調子が悪くて時間通りに開始できないこともあるのですが、遅れても「これからやってもらえますか?」と連絡をくれた時に、その時間を楽しみにしてくれていることがすごく感じられますね。他には、勉強以外の質問をしてくれる時も関係性が構築できているのかなと嬉しく思います。 
 

 

―― 勉強以外ではどんな会話をしますか? 

 

例えば高校進学を考える時に、「女子校っていいのかな?」と聞いてくれたことがありました。私自身は共学だったのですが、大学の知り合いで女子校出身の人の話を伝えたりしました。

私自身が大学・社会人と経験してきて様々な友達がいるので、なるべく多くの友人たちのいろんな視点からの話をするようにしています。様々な視点から物事を見ることで、アリシアさんの世界がさらに広がっていくといいなと思っています。 

 

学ぶことの楽しさを伝えていきたい 

――LSPで勉強を教えるときに、大切にしていることはありますか? 

 

「勉強が楽しい」という気持ちが生まれて、それがどんどん大きくなっていくといいなと思っています。私は勉強が好きなんですけど、勉強自体が好きというよりは、勉強によって新しい知識が増えることが面白いと思っています。 

 

以前アリシアさんから「カトリックとプロテスタントの違い」について聞かれたことがありました。私もその場でわからなかったので、「一緒に調べよう」と提案し、どのように調べればいいのかを教えました。そうすることでまたわからないことがあれば、どのように調べればいいかをアドバイスして1人でも調べることができるようにしています。

自分が抱いた疑問を様々な方法で解決まで持っていくという積み重ねが、学ぶことの楽しさになっていくと思います。なので、新しいことを自分から進んで調べて学んでいく、その楽しさがセッションが終わったあとでもアリシアさんの中で残っていくといいなと思っています。 
 

仕事モードから離れる時間を作る 

――働きながらLSをすることで、仲野さん自身に活きていることはありますか? 

 

普段仕事関係だと、メリット・デメリットを気にした人間関係が多くなりがちです。

一方、アリシアさんから進路に関することや友達に関する質問を受けた時は、自分が学生の時はこう考えてこういう選択をしたんだなと純粋に考え直すことができます。

例えば、「友達ってなんだろう?」という質問を中学生から聞かれると、仕事の損得の関係より純粋な友達関係を大切にしたいなと思ったりと、いつもと違う視点で物事を考えることができます。仕事モードの頭から離れる時間を意識的に作れるのはとても助かっています。 

 

あとは、社会人になって小中学生と出会う機会というと「教える−教わる」関係であることが多いと思うのですが、LSPは普通では築くことができない「一緒にやろう」という対等な関係性でいられるので、とても面白い経験ができていると思います。 

 

 

――最後に、働きながらでもLSPに参加できるか迷っている方に向けて、メッセージをお願いします。 

 

働きながらでも、週に1回1時間のミーティングがあるだけと思えば、全然負担はないと思います。一緒に学ぶことが前提なので準備もほとんど必要ないですし、報告書も大学の課題や仕事の文章と比べたら、全然大変ではないと思います。私も週に1回ミーティングが入るくらいの感覚だったのですが、やっていくうちに「今週も楽しみだな」と思うようになっていきました。なので、1本仕事が入るんだなという感覚で始めてみるのもいいと思います。仕事モードから意識的に離れられる時間を作れることもとても大事だと思うので、ぜひLSPに参加してみてください! 

 

編集後記

働きながらLSPに参加しているからこそ、伝えられることがたくさんあるということがわかりました。様々な経験をしてきた仲野さんが見てきた世界を、LSPを通して見聞きすることで、LRの視野がどんどん広がっていき、将来の選択肢が増えていくのではないかと感じました。 
 

寄付で遺児を
応援する

寄付する

Follow Us

あしなが育英会 公式SNS

Mail News

あしなが育英会 公式メールニュース

あしなが育英会の最新情報などをお届けします。

登録する

Contact

お問い合わせ

お問い合わせの前に、「よくあるご質問」をご覧ください。
掲載のないご質問は「お問い合わせ」よりご連絡ください。