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保護者インタビューまなざし「ボクラ・インシャーラー/明日、なんとかなるかも」

保護者インタビュー 「まなざし」 第1回

「ボクラ・インシャーラー/明日、なんとかなるかも」

豊島由美子さん(東京都)

コロナ禍でも前進あるのみ

豊島家の3人の子どもは、2人が放射線技師で、1人が看護師。次女と長男が就職活動中だ。

 

「この冬、娘は助産師の、息子は放射線技師の資格試験を受けます。資格試験の合格、無事の卒業、そして就職と親の頭の中は心配ごとでいっぱい」

そういいながらも、由美子さんは嬉しそうに笑っている。ここまで子どもたちを育てた安堵と自信が笑顔からにじみ出ている。長女はすでに仕事をしているが、3人ともあしなが育英会の奨学生で、アルバイトをしながら勉強を続けてきた。

 

「子育てしている時は無我夢中で、お金のことばかり考えていました。まさか、ひとり親で大学や大学院に送り出してあげられるとは思ってもいなかったです」

 

長女が高校生の時、あしながの大学奨学生の家庭訪問(現在は行っていない)を受けて、大学進学への希望が見いだせた。

 

「高校、大学、大学院と、たくさんお金を借りなくてはいけなかったけれど、『子どもたちのこの時間は今しかない!機会を逃してはいけない。何でも体験させてあげたい』という思いが強かったです」

と語る。次女が大学1年生の時にカナダへ短期留学した経験は、親子の宝物になっているという。

 

「この時も、学生ローンを組んで、思い切って送り出しました。今しかない、と思って。心配もあったし、トラブルもあったけれど、かけがえのない体験。とても楽しかったみたいです。かかったお金は就職したら、返してもらわなくちゃね!」

そう言って、また嬉しそうに笑う。

 

「でも実際には、仕事をしながら、母親の面倒をみながら、ひとりで子育て。子どもたちの気持ちを考えてあげる余裕はなかったなって後悔することばかりです」

 

それでも、介護現場で働く母の背中を見て育った子どもたちは、全員が直接「人の命」と関わる仕事を選んだ。東日本大震災の影響も強かった、と由美子さんはいう。

 

「津波がこようとも、介護現場の人は、お年寄りを背負って走り回っていました。病院も休むことなく人々が働いて…。自分は介護士として見送る命ばかりですが、娘が助産師になったら迎える命ともたくさん関われるでしょう、何と素敵なことだろうと思っています」

 

きつい仕事だけれども、必要とされ、働ける喜びは大きい、という。

 

豊島さんとご主人

若かりし頃の豊島さんとご主人

夫との突然の別れと、必死の帰国

「夫とはエジプトで出会い、国際結婚しました。出稼ぎでサウジアラビアに滞在しているときに、病気で亡くなりました。子どもたちが10歳、4歳、1歳の時です。夫を失った喪失感もさることながら、宗教的、文化的なしきたりに振り回されて、どうしたら子どもたちを連れて日本に帰国できるか、ということに注力しなければなりませんでした。親権を失う可能性も高く、本当に大変でした。友人や日本大使館の助けを借りて、半年後に何とか、親子そろって無事に帰国できたのです」

 

あしながとの出会いは、レインボーハウスのワンデイプログラムだった。

「毎日、緊張感が高くて、仕事に明け暮れている中で、レインボーハウスに来て、お母さんたちと色々おしゃべりできたのは、本当に良かったです。いってみれば唯一のリラックスの場で、そこがあったおかげで、メンタル面が保てたと思います」

 

レインボーハウスでの、保護者同士や、あしなが職員との交流の中で、貪欲に情報を収集したという。特に3人の教育に関する話や、奨学金などの情報は有難かった。

「下の子が高校生になってから、つどいのボランティアをするようになりました。レインボーハウスに来ると、今でもリラックスできます。あしながの保護者の方には、ぜひ、息抜き、ガス抜きの場を見つけて頂きたいです。それが、ものすごく大事なので」

 

3人の子どもたち

3人の子どもたち

 

 

由美子さんは、寄付をしてくださる方々への感謝を日々、忘れない。

 

「最近、SNSで『#あしなが』を見るのが楽しみです。学生さんたちのクラウドファンディングすごいですね。企業の寄付情報も目にすると本当に嬉しくて。多額の寄付をしてくださる企業も、売り上げの一部を寄付してくださる個人商店も、あしながさんのおひとりおひとりも、こんな世の中なのに、奨学生たちのことを忘れないで寄付してくださることが、本当に嬉しいです。私もポイントカードであしながに寄付ができることを知ってからは、ささやかですが、ポイントを寄付しています」

 

子どもたちの中に、夫の面影を見る時、夫への感謝も湧いてくる。

 

「本当にかわいい子どもたちを授けてくれてありがとうって伝えたいです。好きな言葉はアラビア語で『ボクラ・インシャーラー』明日、神が望めば、です。日本語だと、明日、何とかなるかも、という感じですかね」

 

(インタビュー 田上菜奈)

 

レインボーハウス、ケアプログラムの詳細はこちらよりご覧いただけます。

保護者のインタビューは、このほか機関紙「NEWあしながファミリー」にも掲載されています。

あしながメディア「機関紙」よりご覧いただけます。

 

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